未来の愛大生へ

2014.06.26
高校生のみなさんへ

山本 明彦教授

●大学院理工学研究科 数理物質科学専攻
●固体地球物理学

 私は学生時代、地震学研究室に所属していました。当時、日本列島のような島弧の地下、特に、日本の屋根と言われる日本アルプス(北アルプス、中央アルプス、南アルプス)の地下を探る研究が活発に行われていたため、私を含む学生たちは頻繁に野外観測に駆り出されていました。
 地球科学では、地殻がまるで水の中に浮いた木片のような状態にあるという考え方をアイソスタシーという言葉で表現します。日本アルプスがアイソスタシー的な状態かどうか、つまり、山体の根っこが地中深く潜り込んでいるかどうかは当時学界でも議論の的でした。これを明らかにするために、特に力をいれて行ったのは、地震観測と重力観測です。自然地震は時と場所を選ばないので、あらかじめ決められた時間に行われる採石発破やダイナマイト爆破などの人工地震を利用しました。このような人工地震の観測は、ノイズを避けるため夜中に山奥で行われるのが普通でした。午前2時前後の夜中に、地震計とともに一人ポツンと山の中に取り残され、数時間の地震観測の後、夜明け頃に車でお迎えがやってくるという、スリル満点の観測でした。また、重力観測は文字通り、重力加速度の観測で、重力計という機械を運びながら、あちこちで重力加速度の違いを観測するものです。稠密なデータ分布を必要とするため山奥だろうとどこにでも行かねばならず、山の頂上で観測をする場合などは重い機械を背負子で運びながら登るため、大変な重労働でした。こうした地震観測や重力観測の結果、アイソスタシー的な状態にあるのは北アルプスだけらしいということがわかってきました。
 その後、この研究が契機となり、毎年のように南米アンデス山脈で同様の調査を行いました。学生?院生時代の若い頃にこのような経験をしたことは、今の私にとって大きな糧になっています。大学に入ってからの研究というのはこのような未知への探求が中心です。興味をもったことやわからないことがあれば「なぜだろう」と考え、何にでも挑戦するという姿勢がとても大事です。大学に入学したらそういう姿勢を忘れないようにして勉学に励んでください。

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